石川雅之『週刊石川雅之』

 脱力系シュールギャグを中心とした短編11本。 皮肉や教訓に満ちていながらもそれ以上の笑いで落とす現代の寓話集(単なる笑い話かもしれないが)。星新一ショートショート三谷幸喜のバカバカしさ(ほめ言葉)が加わったかのような絶妙なさじ加減で、思わず唸ってしまうこと請け合い。『もやしもん』で著者の名前を知りましたが、コレを読んですっかりハマってしまいました。何というセンスの持ち主かと。今最も注目すべき漫画家の一人だと思います。 第1話「彼女の告白」では3年ぶりに子供が東京から帰省し、第3話「自分を信じた男2」では誰からも相手にされない男2人が立ち上がる。オチを書けないのが非常に残念ですが、どの話にも「そう来るんかい!」とツッコミを入れずにはいられない秀逸なオチが待っています。その一方、第4話「ただそれだけで」第11話「バス停」のように何気ない日常を切り取った、しっとりとした作品も収録している。どちらもトーンを使わない独特の画風が物語を何倍にも魅力的にしています。 『もやしもん』と並び、今最もお勧めしたいコミックです。 心地よく脱力したい全ての人へ。特に漫画好きは必読。