アニメ「Angel Beats!」を振り返る

概要

Keyで「AIR」「CLANNAD」「リトルバスターズ!」などを手がけた超有名シナリオライター麻枝准(まえだじゅん、以下だーまえ)が初めて制作に携わったアニメ作品Angel Beats!(以下AB!)。原作のないオリジナルアニメというやや不利な立ち位置ながらも、2010年4~6月期に放送されたアニメの中では「けいおん!!けいおん!2期)」と並んでトップクラスの人気・話題性を誇っていたと思います。

企画・原作・脚本のみならずOP・EDや劇中歌も10曲以上作詞作曲するなど「准度400%アニメ」として鍵っ子からは特に強い注目を集めましたが、CDは累計20万枚以上を売上げ、BD&DVDの第1巻は初日で合計1万5000枚を超えたそうで、商業的には一応成功したと言えるのではないでしょうか。

「死後の学園」という奇抜な設定や「――神への復讐。その最前線。」「麻枝准が綴る最高の人生賛歌」などインパクトの強いキャッチコピーは掴みとしては十分で、放送前にはだーまえ自身が開発日誌(ブログ)や殺伐RADIOなどで販促(?)をし、鳥羽Pや岸監督を始めスタッフが各種インタビューでハードルを上げまくっていたので事前の期待・注目度もかなり高かったと思います。

特徴

そして第1話。事前にハードルを上げすぎたのではないか、という声も聞かれましたが個人的にはかなり楽しめました。ゆりっぺと初めて会話するシーンや、野田(ハルバード男)が登場するシーンでの激しく主張する劇伴はこれまでのアニメではほとんどないもので度肝を抜かれました。1話が終わったと思ったらAパートしか終わってなかった…という展開の早さと密度の濃さにも驚かされました。バンドのシーンは賛否両論でしたが、一般的なTVアニメの水準を遥かに超えていたとは思います。

「普通のアニメの倍以上のスピードで進む話」「無駄に(?)多い男性キャラ」「激しく主張する劇伴」などがAB!の特徴でしょうか。密度が濃いため何度繰り返し見ても楽しめる反面、各話2回以上見ないと理解が追いつかないことも。 そして最大の特徴は9話辺りまで展開が読めなかった、と言うか「一体このアニメはどこに向かっているのか」が予測不可能だったことです。毎回続きが気になっていた人も多いのでは。そのため最近のアニメでは珍しく、キャラ萌えだけではなく「ストーリー・シナリオの行方」でも盛り上がっていたように思います。

天使ちゃんマジ天使

キャラ萌え、と言えば避けて通れないのが「天使ちゃんマジ天使」。大人しそうな外見をして爆撃機並みの戦闘能力を持つ彼女ですが、どんなにいじめられても屈しないその可憐な姿に多くの視聴者が釘付けにされました。と言うか天使があまりに魅力的すぎてもう一人のヒロインであるはずのゆりっぺさんの存在感が(以下略)。ゆりっぺと違い天使だけは第1話から最終話まで全く作画がブレてなかったのも「マジ天使」と呼ばれた所以かと。とにかく「天使ちゃんマジ天使」というフレーズは今年の流行語大賞に認定したいぐらい流行っていました(多分)。彼女の大好物である激辛麻婆豆腐の商品化が望まれます。

人生賛歌としての「Angel Beats!

泣ける物語だったのか…を考えると、10話や最終話では泣いたと言う声も多く聞かれましたが、個人的には(略)。ただ、「ずっと一緒にいたい仲間だからこそ、あえてその先を目指す」という方向性はいつものだーまえ節でした。またガルデモなどの挿入歌の歌詞には劇中で表現しきれなかったことも多数書かれているので、読みこむとAB!を理解する一助になると思います。

生きてみてもいい そう思えたから 生まれてきたはずでしょ? やっぱよかったな 人って美しいな そう思える場所に今 コンパスを合わせてる (Highest Life - Girls Dead Monster

触れるものを輝かしてゆく そんな存在になってみせるよ (Alchemy - Girls Dead Monster

どこまでも行くよ ここで知ったこと 幸せという夢を叶えてみせるよ 君と離れても どんなに遠くなっても 新しい朝に あたしは生きるよ (一番の宝物)

個人的には、岩沢のように生きる意味を自分で見つけ出す事こそが人生なのかなと思ったり。

まとめ

とにかくあっという間の3か月間でした。毎週、次の放送までに何度も見返していましたが、こんなに次回が楽しみだったアニメは初めてです。各キャラの語られなかった過去のエピソード、または全編ギャグで2期や3期があるならぜひ見たいですし、麻枝准原作のアニメ第2弾、第3弾があるならぜひ見たいと強く思いました。 ギャグアニメとして考えると、本編よりBD&DVDのキャラコメやドラマCDの方が笑えるのが多少気にはなりましたがw

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