森永卓郎『萌え経済学』

萌え経済学
萌え経済学
ハードカバーなのに表紙は「もえたん」のPOP氏、そして赤い大きな文字で萌え経済学。裏には帯に著者とメイドさんの写真。あとがきには「オタクに対する世間の誤解を解きたい」とも書いてあるけど、こんな装丁ではオタクすら恥ずかしくて買うのを躊躇してしまう。さすが萌え経済学モリタクだな、とは思うけど(褒め言葉)。

コレを読んで萌えが理解できたりとか、オタク市場を開拓できるようになるとは到底思えないけど、ネタと割り切って読むならまあアリかと。随所で「私も○○のフィギュアを買ってしまった」とか「私の理想の女性は綾波だ」など熱い思いを語っており、タイトルとしては「萌え経済学」より森永卓郎 萌えを語る」の方が適切ではないかと思ってしまう。メイフットメイドさん足つぼマッサージのお店)に行った時のレポも嬉々として書いてるし。

まず「萌え」の定義から始まる。萌えとは現実の異性への恋愛を諦めた人達のキャラクターに対する疑似恋愛だと。この「現実の恋愛を諦める」という部分を本文中では解脱と呼んでいる。何と恐ろしいことか。(´Д`;) そして好きなモノや好きなコトに対する需要は飽和しない。今後、鉄鋼や自動車のような巨大成長産業はあり得ないけど、ネットを使って小さな需要を掘り起こして行くのはアリではないか…と、かなり大雑把にまとめるとこんな感じ。

かつてネクラな趣味と思われていたパソコンがIT革命の原動力となったように、「萌え」も将来の成長産業になり得る…というのが著者の主張。そうあって欲しいと思わなくもないけど、アキバ系オタク(各種マニアを含めない)の市場はあまり大きくなく、しかも既に飽和しているような気がする。

最近下流社会という言葉が流行ってますが、オタクは主に中流下流の層が多い気がする。コミックやアニメはそれほどお金のかかる趣味ではないし、オタクのように自分の好きなことを追求する生き方(好きな仕事をする生き方)は所得が低くなる傾向にあると思う。アニメーターがそうであるように。

オタクは好きなモノなら金に糸目をつけないと思われがちだけど、せいぜい気に入った作品の関連グッズを買い漁る程度。オークションなどで何百万も使えるのはごく一部だ。で、オタクと言えども一度に楽しめる作品の数には限度がある。だからオタク市場というものは存在するけど、今後成長するかと言われるとやや疑問。むしろ今が萌えバブルかもしれないし。

まあオタク市場とか言ってる人はごく一部だと思うけど、当のオタク本人としては量より質を、そしていい仕事をする人や企業にはそれなりに還元を。それだけを願っています。あとアニメDVDがもっと安くなってほしいです♪(無理。)