長月みそか『HR~ほーむ・るーむ』

HR ~ほーむ・るーむ~ (1) (まんがタイムKRコミックス)

「ごく普通の、何の変哲もない少年少女がまっすぐに生きてる」。

小学生ほど子供ではなく、高校生ほどスレていない。 そんな微妙な年頃である中学生の、ごくごく普通の日常を描く秀作4コマ。

恋する乙女・千夜。

天然ドジッ娘・素子。

影の生徒会長・ハナ。

この仲良し3人組の女の子を中心にありふれた中学生ライフが淡々と進んでいきます。授業ありテストあり、時には文化祭や修学旅行などのイベントもあり、そしてもちろん恋もあり…です。一見ありがちな「ゆるい日常系」ですが、過剰にマンガチックにならずに中学生の日常を等身大にリアルに描いているのが新鮮。むしろ4コマでなくても良いのでは…?と思うほど物語もしっかり構成されています。

基本的にはクラスメイトとの愉快な日々であり、ヘンに異性を意識し過ぎな中学生たちが微笑ましくもありますが、どこにでもありそうな中学生の風景が郷愁を誘うと言うか、純情だった頃を思い出させてくれるような気がします。あずまんがのようにリアルタイムで時間が進んでいく所も、そう感じさせる理由の一つかも。

絵柄も含めて「萌え」ではありますが、何気ない日常の中に笑いと甘酸っぱい切なさを描いた秀作だと思います。今年読んだ4コマ作品の中でもベストと言って良いかもしれません。

ただ、登場人物が2年生から始まってもうすぐ3年生なのと、作者さんが漫画が本業ではない所がやや心配ですが、末永く続けて頂ければ…と思います。全ての4コマ好きにお勧めしたい作品です。