東村アキコ『ひまわりっ ~健一レジェンド~』

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) ひまわりっ 健一レジェンド (モーニングコミックス)

きせかえユカちゃん』を読んだ人なら東村アキコ氏のギャグの才能がいかに優れているか、そして父・健一がそれ以上に面白い存在か…を知っているはず。書店で見かけて「あ、東村アキコさんの新刊か」と思ったのですが、サブタイトルが健一レジェンドなのに気づき速攻でレジに走りました。今度は自伝(実話)か!! 「きせかえユカちゃん」の巻末おまけ「健一レジェンド」は本編以上に笑えると思ってましたが、それがこうして1冊の単行本になるとは…。実に感慨深い。 美術大学を出たはいいけど就職先が見つからず、仕方なく父・健一と同じ会社に入社…そして始まる悲劇を描くドキュメンタリー。いやギャグ漫画。繰り返しますがコレは作者の自伝であり、ノンフィクションです。伝説と呼ぶにふさわしい健一の一挙一動に戦慄を感じてほしい。

「お父さん、ウサギは好きなんだ」 「もちろんですよ!子供の頃はウサギばかり飼ってましたけん!(中略)近所でオオバコとかシロツメクサとかいっぱい取ってきて、それをウサギに食べさせてねぇ…夢中になって飼っとったなあ…」 「へぇ~お父さんそんなに可愛がってたんだ~」 「そうそう、いっぱいエサ食べて太らせて…そしたら近所の肉屋さんに売るとですよ。500円で」

父が出てこない会社の日常も普通に面白い。表紙を見て「新入社員OLの奮戦記かな」と思っても間違いではないです。ただ、やはりカバー下のこの表紙の方が内容を的確に表していると思う。

とにかく笑いの欲しい人にはオススメしたい。そしてハマったら『きせかえユカちゃん』もぜひ読んでほしい。少女マンガだと敬遠する人もいるかと思いますが、少女マンガなのは見た目だけですので(むしろ20代後半以降の方にお勧めしたい)。前にも書きましたが、これほど笑える漫画は少年(青年)マンガにもほとんどないと断言したいほど。

ちなみに作中の植木屋さんはデビュー作の「フルーツこうもり」にも出てきます(『白い約束』に収録)。しかし自分のことを多少美化して描いてるのかな、と思ってブログ見たら本当に綺麗な方で驚きました。今後も頑張って下さいです…。 最後に、巻末あとがきからこの言葉を引用しておきます。

悲しいけれど、ほぼ実話です(忘れたいのに忘れられない…)。