大井昌和『流星たちに伝えてよ』

知ってるか? 流れ星って ただのチリが 燃えて光っているんだぜ

ある宇宙船の墜落事故を巡る短編集。 もし自分の命が残りわずかだとしたら、残された大切な人に何を伝えれば良いのか。そんな極限状況に置かれて初めて気づくことがあるのかもしれません。どんな人間にも輝く時が来ること、立ち止まって空を見上げることの大切さ、争いの無意味さ、そして「愛している」ということ。 いろんな事に縛られがちな日常で忘れていた「何か」を思い出す過程を描くエピソードの数々からは、まるで流星を見上げた時のように生きる希望を感じることができます。特に最終話、命をかけてメッセージを守り抜いた乗客たちの物語は、目頭を抑えずにはいられないはず。この本のメッセージが少しでも多くの人に伝わり、地上を満たしますように…と願わずにはいられない作品です。 特に「ふたつのスピカ」のような切ない話が好きな人にオススメです。