山田芳裕『へうげもの』

へうげもの【へうげ者】 おどけた言動をする人。剽軽者(ひようきんもの)。
すきもの【数寄者】 (1)物好きな人。 (2)茶の湯を好む人。

信長、秀吉、家康、秀忠に仕えた武将でありながら、千利休の弟子で茶人としても名を馳せる古田織部(ふるた おりべ)。その自由で大胆な精神は、茶の湯だけではなく建築や造園などにも影響を与え織部好み」と呼ばれる一大流行を安土桃山時代にもたらした。織部焼の祖としても有名。 そんな古田織部の生涯を描き、戦国時代を「文化」の視点から捉え直した傑作…と書くとマジメな日本史ものかと勘違いされそうですが、 

実際はこんな感じで。一級の茶人である古田織部を「出世もしたいし金子(きんす)も欲しい、だがそれ以上に茶器が欲しい」という物欲マニアとしてコミカルに描く痛快人物伝です。日本史が苦手な人でも全然OK! むしろどこまでが史実なのか良く分からないほど。 舞台は戦国時代ですが「仕事に生きるか、趣味に走るか」で悶絶するほど悩む織部の姿はまるで現代人のよう。彼が現代に生まれていれば、きっとデジモノを買い漁っていたんだろうなと思ってしまいます。実際の古田織部あんな顔をしていたかどうかは不明ですが。 織部の多彩な表情が楽しめるのはもちろん、とにかく1ページ1ページに強烈なインパクがあります。それだけで笑ってしまいそうになるほどに。上の絵を見て頬が緩んでしまった人は間違いなく買いです。随所でツボを刺激されるはず。 ありそうでなかった日本史漫画。日本史に興味の無い人も、読めば安土桃山の文化や茶の湯に興味が出てくるに違いない。  

関連

古田重然 - Wikipedia