大泉実成『萌えの研究』

萌えを学術的に研究した本…ではなく、非オタのノンフィクション作家さんによるエロゲやラノベなどのオタクワールド体験レポ。もっとも著者は綾波レイに相当はまっており、オタの素養は十分過ぎるほどありますが。

まずはラノベから始まり、TRPG、エロゲ、コミック、アニメ…と徐々にオタクとしての知識を深めていきます(堕ちて行くとも言う)。始めはやや距離を置いて批評していたのがだんだんヒートアップして行き、最後は○ちゃんねらーと共にアニメ最萌トーナメント2005に熱狂するという見事なまでの染まりっぷり。ミイラ取りがミイラになったというか、楽しんで頂けたようで何よりです♪ ただ『マリア様がみてる』と『あずまんが大王』だけは肌に合わなかったようで。

最初に渡された本は奈須きのこ『空の境界』

これにハマった著者は「TYPE-MOONならいけそうだ」ということで『月姫』や『Fate/Stay night』をプレイ。さらにハマったので、TYPE-MOON奈須きのこ武内崇がお手本にしたという『To Heart』へ。マルチに衝撃を受けつつも、これがLeafの3作目であることを知り『雫』『痕』にも手を出す。他にもTYPE-MOONの2人が薦めていた『ONE~輝く季節へ』、そしてONEのスタッフがKeyブランドで作った『Kanon』『AIR』『CLANNAD』へ。Kanonではいたる絵に辟易しつつも、いつの間にか我を忘れて熱中してしまったことで『Key恐るべし』と認識を新たにする。

あらためて、Key恐るべし、と思った。 これは『月姫』や『Fate』ではとても味わえない感動である。(p.139)

この企画の当初にプレイした『月姫』や『Fate』については言及も比較的少なくネタバレもしていないのですが、Key作品、特に『AIR』には相当ハマったらしくネタバレ満載でレビューしています。著者がいかに衝撃を受けたかが分かりますが、ここまでくると作家ではなくどう見てもエロゲオタです。本当にありがとうございました。

 

…とエロゲにどっぷりハマった結果、著者は美少女ゲームこそ萌えの中核的な形」と結論づけています。昔はガンダムがオタクの基礎知識だったように、今はエロゲがオタクの必須科目になっているのかも。 で、体験レポなので萌えの定義とかはどうでも良いのですが、ただ一つ言えるのは萌えは体験してみないと分からないということ。エロゲやラノベなど、実際にオタクな世界に触れずして萌えは語れないと思います。その意味で著者はエライと思いますが(…偉いのか?)、この本を読んだだけではオタクや萌えが何なのかはさっぱり理解できないかと。どんなに素晴らしい映画や小説だって、あらすじだけ聞かされたのでは感動も薄いように。 こんな本はオタクしか読まないとは思いますが、十分に知識のある人の方が楽しめるかも。「私はこうして堕ちて行きました」という体験レポとして。あと言い忘れましたが、恥ずかしすぎる装丁と内容はあまり関係ありません。多分。