TYPE-MOON「Fate/stay night」

Fate/Stay night DVD版

━━━━体は剣で出来ている。
血潮は鉄で 心は硝子。
幾たびの戦場を越えて不敗。
ただの一度も敗走はなく、
ただの一度も理解されない。
彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。
故に、生涯に意味はなく。
その体は、きっと剣で出来ていた。

TYPE-MOONによる伝奇活劇ビジュアルノベル

10万本売れれば大ヒットのエロゲ市場で17万本以上を売り上げた大ヒット作。 PS2への移植も決定しています。 アニメ版のクオリティの高さに触発されて今さらながらプレイしみたのですが、なぜ世間でTYPE-MOONがこれほど大人気なのかを身をもって思い知らされました。とらのあなTYPE-MOONの同人誌ばかり置いてあるのも、コミケの企業ブースでTYPE-MOONの行列だけは桁違いなのも全て納得。ああ、こんなにも面白いならみんなが熱狂して当然だと。 どんな願いでも叶えるという「聖杯」。

聖杯は7人の魔術師「マスター」が7騎の使い魔「サーヴァント」を召還して戦い、勝ち残った者のみに与えられる。その儀式「聖杯戦争」に意図せず巻き込まれてしまう、魔術師としては半人前以下の主人公。聖杯を巡る争いの行方は…。 現代のある街で人知れず行われる「剣」と「魔法」による戦い。魔術師が過去の英雄や神話上の人物を召還して戦う、という設定だけでもかなり燃えます。戦闘シーンも迫力があるのに加え、一瞬も気が抜けない展開は実にお見事。いつ死んでもおかしくない、という緊張感がたまりません。万一やられたらタイガーによるおしおき(?)が待っていますしw

一つ一つのシナリオが面白いのは言うまでもありませんが、月姫同様全てのシナリオをクリアして初めて物語の全貌が理解できるという構成は本当に上手い。大きく分けてシナリオは3つありますが、最初のシナリオをクリアしただけでは物語の1/3も理解できないと思います。1本クリアするだけでも相当時間がかかり、アニメ版も2クール全24話ではシナリオ1本分しか消化できないだろうな…と思うほどですが。総プレイ時間は100時間を軽く超えてしまいましたが、それだけの時間を費やす価値があるのは間違いありません。 話を進めるにつれ、偶然かと思われた出来事は全て必然だったことが明らかになってきます。プレイ前は「Fate」というタイトルは少々大げさではないかと思ったものですが、2週目をクリアした時点で納得できました。これほど壮大な世界観ならFate(運命)」こそタイトルに相応しいと。優れた物語には現実以上に真実が宿るのかもしれないとさえ感じさせられました。所詮は剣と魔法のファンタジーでしょ、と簡単に切り捨てられない奥深さがあるように思います。

全般的にラノベ風味、アニメ風味、少年漫画風味ですが、それゆえ大いに燃えることができるはず。緻密と言うより冗長すぎるとも言える描写で戦闘のリアルさや血の生臭さ、そして日常の楽しさを引き立てるのが奈須きのこ氏の魅力でしょうか。終わってみればどのキャラも大好きになってしまうはず(味方も悪役も)。 アニメを見て原作に興味が出てきた人もいると思いますが、絶対にやっておいた方が良いです。原作が面白いのはもちろん、アニメもより楽しめるようになるはず。かなり時間がかかるので簡単にお勧めはできませんが、現代を代表する伝奇活劇ミステリとして体験しておいて損はないと思います。燃えたい人はもちろん、萌えたい人にもお勧めしたい腐女子も含め)。 そして全てのシナリオを終えた今、なぜか激辛麻婆豆腐が食べたい。 「食うか━━?」「食うか━━!」(©言峰)