07th expansion「ひぐらしのなく頃に」

惨劇に挑め。正解率1%。

完全オリジナルの同人作品でありながら、累計10万本以上を売り上げたビジュアルノベル。今月からTVアニメもスタートしています。その筋ではあまりにも有名な作品。で、そのアニメの第一話を見て「これは原作をやってみないと…」と思いとらのあなへ直行。今さらではありますがプレイしてみました。

ひぐらしく頃に」はよくあるビジュアルノベルですが選択肢がないのが特徴。そして、シナリオを進めれば進めるほどますます謎が深まるという非常に悪質な構造になっています。選択肢がない代わりに謎を自分で考える、その部分がゲームだそうです。あまりに訳が分からなくて考える事を放棄したいぐらいですが…。 雛見沢村という寒村で毎年行われる「綿流し祭り」。その綿流しの日には毎年一人が死に、一人が行方不明になる…という事件が4年連続で起きている。そして迎える5年目の綿流し。祟りか陰謀か、村ぐるみの犯行か。今年は誰が、どのような形で犠牲になるのか…。

シナリオは全8編。そのうち第4話までが事件発生までを描く「問題編」、残り4話が真相を解明する「解答編」でとりあえず問題編までプレイしてみました。本当は全部クリアしてからレビューするつもりでしたがあまりに長過ぎるので断念(シナリオ1本あたり7~8時間かかります)。どのシナリオも「綿流し以前/以後」という2つのパートに分かれているのですが、この綿流しまでが異常に長い。綿流し、つまり事件が起こるまでは平和な日常をだらだらと描いてるだけなので非常に退屈です。途中で何度も眠くなりなかなか進みませんでした。

が、綿流し以降はその退屈さを打ち消して余りある急展開。訳の分からないうちに事件は起き、多くの謎を残したまま結末を迎えてしまう。さあ、真相はご自分で推理してみて下さいね♪ というスタイルなのですが、あまりに矛盾が多すぎて考えれば考えるほど頭が痛くなります。文字通り頭痛がするほど。もういっそ祟りとか超常現象のせいにしてしまいたい。解答編のひぐらしく頃に解」で合理的な説明はあるんでしょうけど…。

しかし訳が分からないのは意図的なものでしょう。「正解率1%」というより、必要な情報がここには揃っていません。これだけで論理的に推理するのは不可能です。だからこそ、作者が解答を発表するまでは絶対に正解に辿り着く事なく悩むことができる。選択肢ではなく「自分で考える」というゲーム。その過程こそ楽しんでほしい部分なのでしょうが、あまりに分からなすぎて夜も眠れなくなりそうなので早急に解答編を始めたいと思います…。

日常パートがあまりに長いと書きましたが、それもまたひぐらしの重要な部分。「それなんてエロゲ」的日常が必要以上に長いのは、コレが猟奇殺人ノベルであることを忘れさせるためでしょう。仲間に囲まれて楽しく過ごしていたかと思ったら、いつの間にか殺し殺されの非日常へと転落していた…。見知らぬ誰かに殺されるより、信頼していた友人に殺される方が何倍も恐ろしい。目の前にいるのは自分の知ってる人のはずなのに、その言動は自分の知らない誰か。

そして、とても殺人事件に関係するとは思えないロリなキャラ絵もこのギャップを楽しむのに一役買っていると思う。もう少し萌えな絵だと恐怖がより引き立つと思いますが、シナリオの人が絵も描いてると考えると十分な出来かと。同人作品ですし。 アニメ版は展開が早すぎて恐怖が半減しているのであまりおすすめできません。公式サイトで体験版も配布しているので原作に触れるのがベストと思いますが、時間がなくお手軽に楽しみたい人はコミック版がおすすめです。たくさん出てますがとりあえずプロローグの「鬼隠し編」を。

原作は同人作品なので、お求めはとらのあななどの同人ショップで。しかし1500円と値段的にはかなりお手頃なので、アニメ見て興味を持った人はぜひ。