ヤンデレを求める心理

 (ヤンデレを一躍有名にしたアニメ「SHUFFLE!」の芙蓉楓)

ヤンデレとは

最初は品行方正なヒロインが次第に精神的に病んでいく…という属性です。デレ→ヤン(病み)であり、語感の似ているツンデレとは全く異なります。なお多くの場合言動が非常に攻撃的になり、例えば周りの人間に「死ね」と言ったり、実際に殺そうとしたりします。 具体的な作品名を挙げると

などが有名です(他にも多数)。

恐怖を求める心理

そもそも、人はなぜサスペンスやホラーを求めるのでしょうか。他にも怪談とかお化け屋敷とか、絶叫マシンもそうですが「怖いもの」とか「恐怖」の類いは昔から根強い人気があります(もちろん苦手な人もいます)。なぜかは良く分からないのですが、恐怖を通してのみ得られる快感があるのでしょう(または悲劇によるカタルシス)。悲惨な状況を追体験することで、痛みを和らげるための脳内物質が出るという説もあります。

歪んだ形の戦闘美少女

ヤンデレとは違いますが、戦う女の子(戦闘美少女)というジャンルはもはや定番と言えます。プリキュア、なのは、舞-HiMEなど(他多数)。少女でありながら高い戦闘能力を持つ、言わば男性性を兼ね備えた少女という完璧な存在。アマゾネスなどとは違い、可憐な外見(少女性)を保ちつつ戦闘能力(男性性)を兼ね備えているのが特徴です。戦闘美少女にはその完全性ゆえに憧れるという部分があると思うのですが、同様にヤンデレ少女も、少女でありながら攻撃性(男性性)を持ったある意味万能の存在としての魅力があるのではないでしょうか。 例えば、ツンデレであれば海原雄山烈海王といった男性キャラも十分に代表的なキャラです。海原雄山ツンデレスクランの沢近以上、と言っても結構多くの人に納得してもらえると思います。ところがヤンデレでは、病んでいく男性キャラも少なからずいるものの、少女が病んでいく場合に比べてインパクトが弱いと感じられます。男性が怒ったり攻撃的になるのもそう不自然ではないと思われるためでしょうか。しかし可憐な少女がノコギリを振り回したりすればインパクトは絶大です。そのギャップゆえに、ハマる人には非常に魅力的なキャラに見えるはず。 ヤンデレは他の属性と違って少女(女性)であることが必須条件だと思います。ヤンデレ少女を求める理由には「完全な、万能な存在への憧れ」もあるような気がするのです。歪んだ形ではあるのですが。 (※戦闘美少女についてより詳しくはこちらをご覧下さい)

「デレ→病み」というギャップから生まれるリアリティ

ツンデレでは「ツン」状態が「デレ」状態に真実味を与えています。「ツン」があるからこそ時折見せる「デレ」がよりリアルに感じられる、と言うのがツンデレが「常にデレ」なキャラより好まれる理由でしょう。 同様に最初から病んでいて攻撃的なキャラであれば、いくら二次元とは言え「これはこういうキャラだ」と思われて終わりです。まあフィクションだしそういうキャラもいるか、と。当初は品行方正で優等生にしか見えないキャラが病んでこそギャップが生まれ、リアリティや恐怖がより強化されます(現実に病んでる女性はあまりいないものの、普通の人が何かのきっかけで病んでいく可能性は十分に考えられる)。いきなり病んだ状態で登場されてもヤンデレとしての魅力は十分に発揮されません。とてもそんな事をする人に見えない、考えられない人がそんな事をしてしまうのがヤンデレです。最近ではアニメコードギアスで良心の象徴のような人があんな事をしてしまいお祭り騒ぎになりましたね(これは強制的にさせられた感が強く、ヤンデレとはちょっと異なるかもしれませんが)。

まとめ

  1. そもそも人は恐怖が好きだ
  2. 男性性を兼ね備えた可憐な少女、という完全な存在への憧れ
  3. 優等生が病んでいく、というギャップにより強化される恐怖とリアリティ

この3点が今のところ考えているヤンデレの魅力ですが、他の属性と同様、単にヤンデレなだけではダメで、それに加えて何か物語としての面白みがないとヤンデレの魅力が存分に活かされない気がします(ひぐらしのように謎がある、アニメ版SHUFFLE!のようにサイコホラーである…など)。 あとヤンデレなキャラより、ひぐらしを読んでゾクゾクしたり、コードギアス第22話を見て「神展開キタコレ!」と思ってしまう自分の方がよほど病んでいるのかもしれません。ヤンデレを好きな人にも何らかの理由(精神的外傷など)があったりするのかなとも思います。 ちなみに個人的に一番好きなヤンデレ作品はダブルキャストです。Production I.Gによるフルアニメアドベンチャーゲームで、現在では入手が困難なもののヤンデレ好きな人にはかなりお勧めです。機会があればぜひ。

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