METAL GEAR SOLID 4 “GUNS OF THE PATRIOTS”

メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(通常版) - PS3

MGS4クリアしました。

今作は、とある理由で急激に老化が進んでしまったスネークに課せられた最後のミッションです。スネークの物語としては完結編になります。

映画としてのMGS4

PS3だけあって映像の迫力はもの凄いです。MGS2、3が霞んで見えるほど。髪の毛などポリゴンっぽい部分も多少残っていますが、火や水や肌の質感などはどう見ても実写。夕日など風景の美しさは言うまでもありません。フルHD(1920×1080)の画面で見るとどう見ても映画です。こんなに細かい所まで描き込んでいるのか、と随所で驚かされます(ちなみに、某動画サイトにUPされているものは512×384で本来の情報量の1/10しかないのであまり視聴はおすすめできません…)。またゲームとムービーの境目がなく、ムービーを見ていたと思ったらいつの間にか操作可能になっていた…という演出はPS3ならでは。

単に映像が精細というだけではなくて、展開される派手なアクションシーンの数々はハリウッドの映画そのものです。「カメラの手ぶれ感」にこだわって作られただけあって臨場感も抜群。現時点ではフル3DCG映画の最高峰の一つと言っても良いのでは。

ただ、映像は掛け値なしにスゴイと断言できるのですが、話も設定も登場人物もMGS1~3を全てプレイしていないと理解できないと思われるほど初見の方には分かりにくい作品になっています。できればMSX版の1と2も。小島監督曰く「シリーズ総決算と言うことで既存のキャラを全部出したかった」そうなのですが…。4の新キャラは主要な所では天才少女サニー、武器洗浄人ドレビンぐらいでしょうか。あとは登場人物も設定も知っている事前提でどんどん話が進んでいくので、メタルギアシリーズの熱心なファン以外は置いてきぼりにされる可能性が高いです。逆に言うと、ファンにとっては知っている人ばかり出てきて懐かくなりますし、随所に小ネタが仕込んであって非常に面白いのですが。

そこさえクリアできていれば、物語は最初から最後まで気が抜けない展開なので終始手に汗握りつつ大いに楽しむ事が出来ます。エピローグのくどさには毎度の事ながら閉口させられますが、MGS2の最後で残された謎が無事解決するのでファンなら見届けておくべきかと。

ゲームとしてのMGS4

前作までは「かくれんぼ」でしたが、今作は隠れる所があまり無い代わりに自分のスーツのテクスチャがカメレオンのように地形に応じて変化します(オクトカム)。従来のように段ボールを使うよりはじっと壁や床に張り付きながら進むことが推奨される「だるまさんがころんだ」方式です。視点を360度いつでも自由に動かせるようになってより「かくれんぼ」しやすくなった筈なのですが、前作までと比べてなぜか潜入している感があまりありません。いざとなれば突撃でも可ですし。これまでは「なるべく見つからないように進む」ことを強く念頭に置いてプレイしていたものですが…。

あと武器の種類はかなり多いのですが使い道がよく分からないものが多く、片手で数えるほどしか使わなくてもクリアできてしまいます。C4や地雷さえ使わなくても良いのは驚きでした(このシリーズではちょっと考えられないほど)。やりこみ要素は多々あると思うのですが、あまり何周もしようという気にはなりません。何より「尾行」は面倒さだけが強く印象に残ってしまいました。

そもそも、ゲームとして面白いかどうか以前にムービーを見ている時間の方が長いのです(ゲームは5時間以内にクリアできますがムービーは8時間以上)。ゲーム部分がムービーのおまけ程度にしか感じられないので、ゲームとして語る事は不毛かもしれません。いっそのこと超ライトユーザーのために「ゲーム部分を自動的にクリアする」モードがあっても良かったような気もします。

まとめ

個人的にはゲームとして楽しめたのはMGS1で、物語を楽しめたのはMGS3です。そして映像が楽しめたのはMGS4。もの凄い体験をできることは間違いないので、PS3とセットで買う価値は十分にあると思います。それなりの大きさの画面があればなお可(フルHD対応のTV&HDMI接続推奨)。

しかし年老いたスネークがこれほど格好いいとは思いませんでした。自らの身体と精神の限界を超えてなお戦い続けるスネークの姿には心を打たれずにはいられませんが、それこそが小島監督がシリーズ最終作で伝えたかった“sense”なのかも。