「パラサイト 半地下の家族」(기생충 / Parasite)

パラサイト 半地下の家族 (字幕版)

2019年公開。
第92回アカデミー賞、作品賞ほか4部門受賞。
第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)受賞。
Rotten Tomatoes批評家支持率99%。

半地下の住宅で暮らす貧しい一家。ある日、息子がエリート大学生の友人から妹の家庭教師を依頼される。
これをきっかけに「半地下の家族」は「高台の豪邸」に住む裕福な一家に次々と寄生していく。
ブラックコメディー/スリラー。

まず、アカデミー作品賞とパルム・ドールの同時受賞は65年ぶりです。
さらにアカデミー賞には「国際長編映画賞」があり、例えば邦画だと「おくりびと」が受賞していますが、英語以外の映画で「アカデミー作品賞」を受賞したのは史上初。映画史としても記録に残る作品です。

貧しい一家の息子は家庭教師、妹はまた別の家庭教師、そして父と母もそれぞれ他人の振りをして裕福な家庭へ「就職」します。あの手この手を使って潜入・寄生していく様がコメディとして非常に楽しいのですが、実は一家の寄生が完了してからがこの映画の本番。驚愕の事実が発覚し「寄生虫」というタイトルの本当の意味が分かります。作品のテーマである貧困、社会格差などがより明確に。話としてもコメディから手に汗握るスリラーへと一気に変貌します。

「台湾カステラ」など韓国独自の事情が数多く含まれますが、不平等や格差は世界共通の問題であり、また単純に映画としての面白さも世界で通用すると思うので数々の受賞も納得できます。エンタメ性とテーマの深さを高いレベルで両立させている稀有な作品です。

映画を年に1本見るか見ないか…ぐらいの人にもお勧めしたい、本当に凄い映画だと思います。