”マリみて”の魅力

マリア様がみてる。 '98年5月に発売されたこの小説は、もとは10代の女子中高生のために書かれたという 伝統あるソフト百合系お嬢様学園物語である。 時代は移り変わり、原作がアニメ化やコミック化までされた平成の今日でさえ 16冊読み続ければ気持ちだけは温室育ちの純粋培養お嬢さまになれる、 という仕組みが未だ残っている貴重なライトノベルである。

コミック版が本日発売、というか1日で完売。流石だよなマリみて。原作も読んだしアニメだって見てるが、それでもコミック版は十分に楽しめた。一粒で3度美味しい。いや楽しめたと言うか、コミック版は原作よりもアニメよりも感動した。 原作(コバルト文庫)は16冊もある。当初は「うわ…こんなに読めねー」と思ってたけど、4巻辺りから登場人物の顔と名前(とニックネーム)が一致してくるので、後は一気に読める。1日に2~3冊はいけるはず。そもそも、主要な登場人物は本名ではなく特別な名前で呼び合ってるので、最初は「ロサ・フェティダ……って誰??」って感じですが、今では 「黄薔薇のつぼみの妹」 という単語が自動的に 「ロサフェティダ・アンブゥトン・プティスール = 島津由乃 (Rosa Foetida en Bouton petite soeur) と脳内変換されてしまう。ここで「何で学名とフランス語が混じってるのか」とか「プティではなく正確にはプティットではないか」などと野暮な質問をしてはいけない。リリアン女学園伝統です。ツッコミを入れる所なら他にいくらでもある(どうして百合なんですか、など)。

しかしマリみてといえば何と言っても姉妹(スール)だ。センパイが特定の後輩を教え導くという制度が、単なる友情とか愛情を超えた絆を生み出している。姉妹(スール)なくしてマリみては成立しないし、そこに単なる百合ものとは違う面白さがある。 「お嬢様+学園もの+ソフト百合」という純粋な世界に憧れるのもイイし、人間関係のすれ違いなどで悩む微妙な心理に共感するのもまたイイ。どちらかというとキャラ萌えと言うよりは設定萌えな話だと思う。だから特定のキャラでハァハァするのはいけないと思います。しかし、一見おとなしそうに見えるが実は強気で超活発、受けより攻め、好きな言葉は先手必勝という由乃は萌え。 コバルト(文庫)とかマーガレット(コミック)ですが、女子中高生とか大きなお兄ちゃんに限らず全ての世代にオススメです。コミックから入るのもいいし、気になる人はとりあえず水曜深夜1時からテレ東を見て下さい。お兄ちゃんは夢中です。(……_| ̄|○)