奥浩哉『GANTZ(ガンツ)』

地下鉄のホームで撥ねられた2人の高校生。 次の瞬間、彼らはあるマンションの一室に無傷で立っていた…。 さすがにフジテレビでアニメ化するだけの事はある(テレ○とかじゃなくて)。最初から最後まで、まるで一級のハリウッド映画を見ているかのような極限の緊迫感。読んでる間は脈拍も心拍数も上がりっぱなし。コミックでこれほどドキドキさせられた事はないかもしれない。10巻ぐらいは一気に読めるはず。もしグロテスクな絵と展開が平気なら、これ以上はないほどお勧めです。

死んだはずの人間が転送されるマンションの一室、そこにある謎の黒い球(ガンツ)。ガンツの指令により宇宙人を倒さなければならない(らしい)が目的は不明。武器や防具は与えられるが使い方は一切不明。ただ一つ分かっているのは、指令に従わなければ命はないし、宇宙人を倒さなければ自分たちが殺されるという事。 一つのミッションをクリアしても次々に与えられる指令。ますます強くなっていく敵。断片的にしか与えられない情報の中、はっきりしている事はただ一つ、「戦わなければ生き残れない」。 この面白さ、そして続きが気になって仕方がないのは謎が多すぎるから(と思う)。12巻まで読んでも、 「死んだようで死んでない自分たちの存在って何?」 「この宇宙人って何者?」 「…で、結局ガンツの目的って何?」 とか、分からない事だらけ。ここまで来ると「まさか作者も何も考えてないのでは…(汗)」などと疑ってしまうほど(そうでない事を祈るが)。もちろん、3DCGをベースにした緻密な絵は圧倒的なリアリティ(そしてグロさ)を訴えてくる訳だけど、この作品最大の魅力は「読者も何も分からない」という点。これに尽きると思う。 もし、この不可解で謎に満ちた世界観に論理的な裏付けがあるのだとしたらスゴイ。その奇抜さはマトリックスにも匹敵するかも。いつか全ての謎が解明されて終わるのか、結局うやむやにされたまま終わるのか。とにかく今は「ある日突然放り込まれた、日常の風景の中での生き残りを賭けた戦い」という極限状況をハラハラしながら見守るしかない。 アクションゲームが好きな人なら例外なくハマるでしょう。 もし無事に完結したら、アニメではなくハリウッドで実写化…してくれるといいなあ。