久しぶりに良い映画を見せてもらったと思います。
まあ中身はご存知のように、政権誕生の謎からイラク制圧までを描く「ブッシュ大統領と愉快な仲間たち」のドキュメントです。前半はもう爆笑もので、特に愛国者法(※)の中身を読まずに成立させてしまった議員のため、街宣カーで条文を読み上げるムーアたんが最高。親切すぎw
(※例えば、国民が図書館で何を借りたか調べる事もできちゃう法律)
しかし9/11にしろイラク侵攻にしろ、何の罪もない人々が無駄に死んでいる。命は助かっても両腕や両足がなかったりとか、「私の子供を返して!」と絶叫する映像には胸が締め付けられる。イラクの人々はもちろん、イラクに派兵されたアメリカ軍兵士もまた被害者だ。派兵されてなくても、連日テロに対する恐怖を煽られ、訳の分からない法律で徐々に権利を奪われて行くアメリカの一般市民も被害者と言える。
一体何のための戦争なのか。石油とか利権とか、あるいは一部の大企業の利益のためか(ブッシュ大統領関連の企業含む)。戦争がなくとも貧富の差は拡大し続けてるというのに。イラクの人もアメリカ兵も、犠牲になった人は一体何の犠牲になったのだろう。自由のため? その割には一段と不自由になってる気が…。
事実は小説より奇なり、だけどこれほど滑稽な茶番もない。しかし、フィクションと違ってこれは今も現在進行形で起こっている事であり、犠牲になった人々や家族にとってはどうしようもないほどリアルな現実だ。テレビでしか見ないとイマイチ現実味がないけど、これを見て少しは伝わってきたような気がする。
誰かが記録しておかなければならない出来事。同じ過ちを犯さないためにも、確実に未来の世代に伝えなければいけない歴史。それを非常に分かりやすくまとめたムーアたんは本当に偉い。面白いと言ったら不謹慎だけど、2時間があっという間でした。興味のある人にはぜひ見てもらいたい作品です。