Key「CLANNAD(クラナド)」

CLANNAD ~クラナド~ 通常版 

「…この町と、住人に幸あれ。」

KanonAIRに続くKey第3作目「CLANNAD(クラナド)」。既にPS2への移植も決定していますが(2005年発売予定)、このためだけにVPCを買って良かった…と心から思いました。AIRでノベルゲームの一つの頂点を極めてしまったKeyなので、正直あれ以上のものは無理だろう…と思っていたのですが、AIRの倍以上は涙を流したと思います(AIRクリア直後はどちらかというと茫然自失でしたが)。

父子家庭の主人公は、ある理由から家庭内別居状態。 そんな主人公の高校生活を舞台にした、ありふれた恋愛ノベルゲーム…と思いきや。

期間は約1か月でKanonAIRと同じくらいですが、とにかく1日1日が長い。発売にAIRから4年も掛かったのも頷けます(開発期間約3年)。メインキャラ5人、サブキャラ6人にそれぞれエンディングがあり、これだけでもKanon以上の質と量。特にことみ、風子シナリオはもう…・゚・(ノД`)・゚・。そして感動や泣き要素だけではなく、主人公の悪友「春原(すのはら)」など個性的キャラのおかげでギャグ要素もかなり多め。どのシナリオも序盤はかなりの爆笑ものです。ギャグだけでも間違いなくKey最高傑作と言えるでしょう。

しかし、ここまでは言わば前半部分。CLANNADの真の醍醐味は全キャラクリア後に現れるAFTER STORYです。全キャラのエンディングを見た限りでは「確かにKanonよりも進化してるけど…」という感想しか持てなかったのですが、AFTER STORYクリア後はAIRと同じかそれ以上に凄い作品かもしれない」と評価が一変したほど。

おそらく「家族」という意味が込められているであろう「CLANNAD」。これはその名の通り、KanonよりもAIRよりも「家族」を真正面から描いた作品です。家族とか家族愛がいかに凄いものなのか…を思い知らされます。痛いほどに。そして幸せとは何か人として生きる意味とは何なのかを真剣に考えさせられるはず。

家族とは、そのために一生を捧げてもおかしくないほど価値のあるもの。もちろん、家族でなくても自分にとって大切だと思える人なら誰でも。これは様々なシナリオで形を変えて何度も語られる感動的なテーマです。しかしCLANNADの凄い所は、家族を決して狭義の「家族」に限定していないこと。

「町は、大きな家族か」 「はい。町も人も、みんな家族です」

人が生きる意味は、家族や大切な人の中にある。そして、同じ町に生きる人も一つの家族。さらに、より大きな単位も家族なのだろう(ゲーム中そこまでは語られませんが)。つまり生きるとは…家族に限らず誰かの幸せのために生きること。それこそが人の生きる意味なのだ、というのがこのゲームに込められた重要なメッセージの一つだと思います。様々な人の家族や人生を描き、家族の重要性をこれでもかと説いた上で「大切な人」とは決して家族や肉親に限定されるものではない、と気づかせてくれる。だからこそCLANNADには家族愛だけでは説明し尽くせないほどの感動を覚えるのでは。

誰のためでも、一生懸命に頑張る。 それは、家族だからだ。

さらに。

「なにもかも…変わらずにはいられないです 楽しいこととか、うれしいこととか、ぜんぶ ぜんぶ、変わらずにはいられないです それでも、この場所が好きでいられますか

人も町も変わり続けずにはいられない。大切だった場所や人を失ってしまう事もある。しかし全てを失ってしまったとしても、自分の存在が忘れられてしまったとしても唯一残るもの…それが「思い」なのでは。 とにかくクリア後、なぜか人の幸せを願わずにはいられなくなりました。自分の知っている人にも、知らない人にも。何が起こるか分からないけど、人も町もどうか幸せに…と。おそらく企画&シナリオの麻枝氏もそれを本気で願っていると思います。でなければ、こんなにも人に影響を与える作品は作れないはず。 主人公は高校生活からスタートしますが、きっと誰にとっても、今この瞬間が人生のスタートラインなのでしょう。そして、誰かのために歩き続けること…それが生きる意味。

俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。

CLANNAD - Switch

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