石川雅之『もやしもん』

地味に面白い農大マンガ。テーマは「菌」。 菌がなぜか肉眼で見えてしまう特殊能力を持つ主人公が「菌」にまつわる様々な騒動に巻き込まれてしまう学園コメディ。 菌と言っても病原菌から発酵食品までいろいろあるけど、菌は人間にとって必要不可欠な存在だな…と実感させられる真面目なマンガではなく、学内で日本酒を密造したり、強烈なニオイの発酵食品を持ち込んだりする奇人変人に爆笑させられるマンガです。 もちろん読者にも菌は常に見えているわけで、これがこの作品を面白くしている最大のポイントだと思う。例えば「部屋にインフルエンザウィルスが蔓延している」という状況は、風邪の人を描くより菌そのものを描いてしまった方が説得力が何倍も違う。ましてその菌が自分の意志で人から人へ感染していくとすれば。 で、コマのあちこちに登場する「菌」が異常なまでにカワイイ。

いまだにキャラグッズ化されてないのが不思議なぐらいだ。 ある意味農大マンガと言うより菌萌えマンガかもしれない。 別に細菌の重要性を啓蒙する目的はないと思うけど、やっぱり菌は偉大だなと見直してしまう。発酵食品の中でも日本酒は頻繁に登場しますが、これほど日本酒を魅力的に描く作品はない。お酒に全く興味がなくても飲みたくなってしまうほど。 読めば菌たちの魅力のとりこになってしまうはず。 ぜひ存分にかもされてみて下さい。