「萌え」という感情

 (「NHKにようこそ!」第1巻より)

萌えとは何か

「萌え」にエロは含まれるのでしょうか。 これを考えるにはまず「萌え」を明確に定義する必要があると思いますが、そもそも「萌え」を辞書的に定義する事は困難です。Wikipediaでも

「萌え」は、その主たる話者達(いわゆるオタク層)が関心を抱く対象に対して感ずる、様々な感情を総称する言葉である。

と、かなり曖昧な言い方になっています。これは萌えの「対象」も「様々な感情」もあまりに千差万別で、厳密に定義しすぎると逆に不正確になるためと思われます。「対象」だと二次元(アニメ、コミック、ラノベ、エロゲなど)のキャラ限定とか、あるいは三次元(アイドル、声優、メイドさんなど)も含めるとか、またはモノや動物や現象も萌えの対象になり得るかもしれませんし、「感情」で言うと「好き」や「可愛い」とか、いやもっと強い感情だとか、あるいは欲情を覚える所まで含めるかどうか…とか。

「好き」の隠語としての「萌え」

オタク経済学者、森永卓郎氏の定義によると萌えとは「アニメなどのキャラクターに恋をすること」らしい(『萌え経済学』より)。一般向けの本での定義なのでかなり単純化されています。もちろん正確な定義とは言い難いですが、そもそも発祥はアニメ(or漫画)のキャラに対する言葉なので完全に間違いとも言い切れません。 「萌え」の正確な起源は分かりませんが、一つ考えられるのは、二次元上に存在する架空のキャラクターをはっきり「好きだ」「愛している」と言い切ってしまうのはオタクでもやや抵抗があり、それに代わる言葉(隠語)として生まれたのではないかなと。

手の届かない何かへの感情

はっきりこうだと定義する事はできないのであくまで個人的な印象ですが、「萌え」の対象は人によって様々でも、それは自分の手の届かない何かへの感情なのではないかなと。二次元キャラには絶対に触れる事はできませんし、アイドルや声優も普通は遠くから眺める事しかできません。逆に自分の知り合いとか彼女に対してだと「萌え」という言葉は違和感を覚えると言うか、もし使ってる人がいたら引いてしまうと思います。まあ、一般人はオタクが「○○萌え~」とか言ってるのにはドン引きだとは思いますが。 例えば、個人的にはネコも「萌え」の対象だと思うのですが、写真や映像で見るネコは「萌え」でも、近所のネコには普通に「かわいい」の方が合ってるような気がします。同じような感情でも対象に手が届かない場合は「萌え」になるのではないでしょうか。 

で、

二次元キャラに対しても「欲情」まで行ってしまうと妄想の中とは言え手が届いてしまうので、それは「萌え」を超えた感情なのではないかと。萌えを含む何かなのか、萌えを超えた別の感情なのかは分かりませんが。 なので「萌え」という言葉には「エロ」はあまり含まれないと思います。「萌え」自体が何でもアリな言葉なので広義では含まれてもおかしくありませんが、今の所「萌え」とは「遠くから愛でる感情」ではないか…というのが結論です。

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