山本 智矢『今日の必ずトクする一言 完全収録編』

 

1000万hitを記録した同名のサイト(今日の必ずトクする一言)を書籍化したもの。科学技術エッセイ。コンピュータから始まってネットワーク、オーディオ、クルマ、航空力学、建築…などなど、工学系のジャンルはほとんどカバー。そして、それぞれについてかなり専門的な解説をしている(少なくとも素人目にはそう見える)。しかも医学博士らしいし。著者の造詣の深さ、広さにはただただ「スゴイ…」の一言だ。

幅広いジャンルを語りつつも、その中で一貫して主張しているのは「リソース(資源)」の問題。例えばパソコンの速度は日進月歩と言われてるけど、実際は消費電力も発熱量もうなぎ上りで、それが本当に技術の進歩と言えるのか?という問題。そのパソコン上で動くソフト(某Wind○ws)も年々肥大化・複雑化してるけど、果たして効率は良くなったのか…? という問題(むしろ悪くなってるらしいし)。このような拡大路線のビジネスも生き方も限界がある、というのが著者の主張。 なぜ限界があるかと言えば一つは地球リソースの問題(地球の資源は無限じゃないよって話)。

そしてもう一つが独自の視点で面白いと思ったんだけど、ヒトの時空間リソースの問題。人の使える時間は限られているし、人に流し込める情報量も限られている。よってiモードなどのソフトウェア産業コンテンツ系ビジネス)もいずれは頭打ちになると。結局ハードもソフトも拡大路線には限界があるからほどほどにね♪って話。拡大再生産を否定するって事は資本主義そのものを否定してることになるけど、その主張は概ね間違ってないと思う。 確かにこれ以上速いパソコンが必要か?って言われたら特に必要ない気もするし(少なくとも一般人には)。だから新しいMacとか当分出してくれなくてもイイと思ってる。ほら、まだ買ったばっかりだから、また欲しくなってしまうと困るし(むしろ出すなと思う)。