六花チヨ『IS(アイエス)~男でも女でもない性~』

世の中には「男らしさ」「女らしさ」を求められて苦労している人が多数いると思う。しかし、もし自分が「男性」でも「女性」でもないとしたら。 「IS」、インターセクシャル。 2000人に1人の割合で生まれると言われる、男でも女でもない性。

生物学的に男性と女性の特性を合わせ持つ状態、あるいはそのような人たち。間性。半陰陽。二形(ふたなり)。様々なタイプがあり、性染色体・性腺・外性器など身体の性別(sex)が明瞭でない人々を総称する。したがって、外性器のみを合わせ持つ場合や、精巣と卵巣を合わせ持つ真正半陰陽児などにさらに細分される。 (Neo TRANSIS -基本用語-より)

社会が「男女」どちらかに所属する事を求めるなら、どちらでもない人は自分を隠し続けて生きるしかない。そんなISの人々の苦悩とともに、性別を超えた愛のかたちや人間の絆が描かれた秀逸な作品です。感動必至。 2000人に1人というのはもしかすると身近にいるかもしれない数字で、そういう問題を考えるきっかけにもなるとは思うけど、もしISに一生関わりがないとしてもこの作品はお勧めです。それは、性を考える事によって性別を超えた視点で物事を考えられるようになると思うから。ジェンダーや性差別の議論よりも「IS」という重いテーマで描かれた(しかし読みやすい)この作品を読む方がはるかに直感的に、本質的に分かるはず。 1巻の入手は比較的困難なので、2巻から読まれることをお勧めします(短編集なのでどちらからでもOK)。かなりオススメ。